うちには猫がいるので自然と猫好きになっていたのですが、ある日、近所で一番大きな書店の絵本コーナーで、子どもが表紙を見た瞬間に「この本が欲しい!」と言ってきました。
普段は中身をじっくり見てから選ぶタイプなのに、今回は珍しく表紙だけで心をつかまれたようです。
今回は、わが家にある町田尚子さんの絵本の中から3冊を、具体的な内容に触れすぎない範囲でご紹介します。
①「なまえのないねこ」

文:竹下文子さん。日本絵本大賞や絵本屋さん大賞を受賞しているので、ご存じの方も多いはず。
表紙には、鼻にキズのあるキジ猫が美しいミドリの目でこちらをじっと見つめていて、猫好きなら思わず手に取ってしまう存在感があります。
名前を持たない野良猫が、名前を探す旅の中で“本当に欲しかったもの”に気づく物語。
読み終えると胸があたたかくなり、「よかったね」とそっとつぶやきたくなる一冊です。大人にも響く作品だと感じました。
後ろ姿の裏表紙もとても愛らしく、ふっくらした体や短めのしっぽに、思わず笑顔になります。
絵本の中の猫たちはどれも表情豊かで、
「あ、こういう顔するよね」と思える描写ばかり。
猫目線で描かれている場面も多く、道の高さや屋根の上からの景色など、読みながら自分も猫になったような気持ちになれます。
全文ひらがななので、小さなお子さんへの読み聞かせにもおすすめです。
②「ネコヅメのよる」

耳を少し下げ、目を細めて爪を舐める猫のドアップ表紙が印象的。
暗い背景も相まって、何かが起こりそうな雰囲気が漂います。
ページごとの猫との距離感が絶妙で、前半はセリフがほとんどなく、
「これは何の話なんだろう?」とワクワクしながらページをめくってしまいます。
たくさんの猫たちが同じ場所を目指すシーンは、少し不気味で、それでいてかわいい“コワかわ感”。
最後のページの猫の表情は最高で、私は毎回その顔を見るのが楽しみです。
隣のページには町田尚子さんからのメッセージ。
猫と暮らすことの喜びや、気づきを思い出させてくれました。
ちなみに裏表紙では、猫が床をガリガリ…。
うちの猫たちは床ではなく椅子やソファ派ですが、気持ちはとてもよくわかります。やめて欲しい…(切実)。
③「ねこは るすばん」

3冊の中で、一番気軽に楽しめる絵本です。
表紙には、飼い主のおでかけを窓からじっと見つめるトラ猫。
この子が留守番中にどんな過ごし方をしているかが描かれています。
ページを追うごとに「猫って本当にこうしてるのかも…!」と思わず笑顔になる描写が続き、猫たちの表情やしぐさがとにかく愛らしいです。
そして何と言っても最後のページの“あの目”。
あれを見てしまうと、つい「待たせてごめんね」と言ってしまうのは、猫飼いあるあるですよね。
自然な仕草や表情が丁寧に描かれていて、これまで出会った猫たちを思い出しながら楽しめる一冊です。
ただただ猫のかわいさに癒やされたい時にもおすすめです。
まとめ
町田尚子さんの絵本は、
猫の何気ないしぐさやまなざしがとてもリアルで、
「猫ってこうだよね!」と思う瞬間の連続です。
猫を飼っている方はもちろん、
猫好きの方、癒やされたい方にもぜひ手に取ってほしい絵本ばかりです。